2008.2.17

単発企画として、タイトー製のプライズもの『テレビ版アルカディア号』を『デスシャドウ2号艦』へ極小改造するという試みを発作的に始めました。
本来であれば、『デスシャドウ2号艦建造計画』として、キットからの大改造で作り上げるのが理想的な展開だと思います。このサイトの主義からすると、それが正統と……。が、それに伴う膨大な時間を考慮すると、尻込みせざるを得ませんでした。
また、対費用ということで考えると、このタイトー製の立体物は非常に素晴らしいです。同程度のサイズの『新世紀合金』は12,000円程度するのですが、私は今回これを1,200円で購入しました。もし、このサイズで同程度の出来のものが、現在、インジェクションキットとして発売されたら、とてもそんな値段では済まないと思います。非常にリーズナブルです。
とにもかくにも組み立ててみました。プラモデルの類とは異なる樹脂製 (一部軟質樹脂も有り)で、ちょっと筋彫りが大味ですが、プロポーション的には、かなりうまくまとめられていると思います。
私自身この型のアルカディア号には思い入れがありますが、プロポーションに関して、ほぼ不満はありません。
このパーツが袋に入っていて、取り付けの必要があります。組み立てそのものは1分で終わります。

さて、今回の文章の中では、この『テレビ版アルカディア号』を【ブルー】。『デスシャドウ2号艦』を【グリーン】。『俗に言うマッコウクジラ型のアルカディア号』を【3号艦】と簡易表記して統一したいと思います。
さて、改修作業を始める前に、コンセプトだけははっきりさせておきます。
今回は、アニメーション『コスモウォーリアー零』および『宇宙交響詩メーテル』に登場している【グリーン】をモデルとします。
『ジークフリート』と『神々の黄昏』にももちろん登場していますが、現在
『神々の黄昏』を読めないという事と、【ブルー】と【グリーン】の形状の差異を考慮すると、やや混乱をきたすためです。
左が【ブルー】右が【グリーン】です。同一アングルの画がなく、単純に比較出来ないのですが、私はこう判断して進むことにしました↓
『……設定画によっては似て非なるものに見えるケースもあるが、パーツ・ブロックのバランスや比率がややデフォルメされているだけで、基本形は全く同一の艦と考えてよい……』
別の意見を持たれる方も多いかもしれません……あくまでこれは私個人の解釈です。
【ブルー】も、作品中ではかなりデフォルメされていて、ボリュームの異なる描かれ方をしていました。いっぽう、『宇宙交響詩メーテル』では、CGデータを作成して動かしているようで、型崩れ等はまるで起きていません。
私は、この【グリーン】は原作コミック『宇宙海賊キャプテンハーロック』では、「緑」に塗られていることが多かったアルカディア号へのオマージュのようなものと捉えています。
再塗装はもちろんですが、接合部の継ぎ目などの処理も行うため、一度バラしてしまうことにしました。艦底部に4つネジ穴がありました。上甲板部分は簡単に外せました。
艦首近くで接着剤でがっちり固められている部分があり、強引にプラノコで切断し、艦体を2枚に下ろしました。
エンジン部分は別にネジ止めされていたものをバラし、瞬間接着剤で再度組み立てます。接合部の処理はパテは使わずに瞬間接着剤で処理しています。
艦体も上下を接着し、継ぎ目消しの処理をします。耐水ペーパーをかけると、このようにドクロの紋章は消えてしまいます。
この紋章の件は、何らかのリカバリー作業が必要となります。方法としては、前回の1号艦と同じで考えています。
艦体のこの紋章、『コスモウォーリアー零』の設定では、はっきりと「
レリーフ」であると補足設定されています。
ネジ穴はエポキシパテで埋め、艦首先端の窪みには大量に盛り付けます。
この艦首先端の違いは、【ブルー】と【グリーン】を区別するポイントのひとつなんですが、『ジークフリート』では窪みがあるように描かれています。
『神々の黄昏』を読めないと述べましたが、いつの間にか新潮社のウェブサイトからカットされてしまっています。
長く中断が続いていた末の処置なのでしょうが、「いつでも読める」と思い、画像データをコピーしていなかったことが、今となっては悔やまれます。
……出版社さんには、自分のコンテンツは大事にしてもらいたいものだと、つくづく思います……とにかく確認が今は出来ません。
整形して右上の写真のように尖らせます。少なくとも『コスモウォーリアー零』および『宇宙交響詩メーテル』では【グリーン】の艦首先端は、このようになっています。
ドクロの紋章に関しては、『デスシャドウ1号艦』と同様に、フルタ食玩の【3号艦】の先端をシリコンで型取りします。
また、同じくフルタ食玩の【ニーベルングの指輪】も念のために型取りします。場合によってはこちらを使用するかもしれません。
エポキシパテを詰めて複製を作ります。
表面処理の終わったパーツからサフを吹き始めます。
細かい軟質樹脂のパーツなどは、パーティングラインを上手く消せなかったものも多々あります。
本来は (時間と予算があれば) パーツを全てシリコンで型取りし、レジンキャスト類で複製を造るのが一番良いと思います。そうすれば、このタイプを気楽に量産も出来るということで、考えただけでもワクワクする話ですが、現在のところは無理でした。将来的には、機会があれば……考えたいです。
艦底のインテーク部分には当然穴がなく、のっぺらぼうという感じでした。迷いましたが、プラバンでインテークのフチの部分だけ追加してやり、ごまかします。何もしないよりかはマシです。
艦尾キャビン上には、旗棹 (太っ!) と舵輪が配置されている、というサービスぶりです。
ただ、原作コミックやテレビ版の【ブルー】では、旗はほとんど前方のゴツいマストに掲げられることが多く (全部チェックしていませんが、この位置に掲げたことは記憶にないです。ただし、旗棹はあったようです……もちろんもっともっと細いものが) なぜここに配置されたのか腑に落ちません。
また舵輪は、確か映画版999の【3号艦】で初めて登場していると思うので、【ブルー】については設定があったのかなぁ?という疑問が生じます。【グリーン】には、ついていて不思議はありませんが、手持ちの資料と記憶で確証が得られないのと、ここだけ1/144スケール程度 (頑張って再現すれば、当然このぐらいにはなってしまうのは解ります) になっているので、旗棹ともどもカットすることにしました。
ディテールアップについては、終始迷いながら進めています。艦橋基部のインテーク部分、丸窓状のモールドを入れました。軟質樹脂のムクなので、ピンバイスで穴を開けただけです。
さらに、主翼付け根前方に楕円のインテーク状のモールドがあります。これも同様にピンバイスで開口して表現。この2つも加工の難しさを考え、ギリギリまで処理しない方向で考えていましたが、いちおう手だけは入れました。
ドクロレリーフは小さいほうを3つ使用します。複製の段階で、余分な肉厚が出来るのを、ごっそりそぎ落とします。
残っているマーキングの跡をガイドとして艦体に接着。

こうなったら、基本的に可能なものは手を入れていきます。艦首のアンテナは、軟質樹脂のぼってりとしたものなので、丸ごとプラに差し替え。これはデスラー艦のアンテナを加工したものです。
エンジンポット脇のインテークも、モールド表現なしの場所でした。ここも、フチだけはプラ材で着けておきます。
上甲板にもドクロレリーフを接着し、艦体の作業もかなり進行してきました。
後部キャビンは、出来るものであれば塗り直したくないです。全体をマスキングテープでカバーしておきます。
ここで艦体に最初のサフ吹き作業。
やはり加工した部分の荒さが目を引きます。プラバンと瞬間接着剤で固めてある部分なので、今度はプラパテも問題なく使えそうです。
主翼は、上下分割の艦体に挟む形式のため、ここで接着して、取り付け部近辺の表面処理をしておくことにしました。本当はジャマですから、もう少し後での取り付けが望ましいのですが、テストで主翼を挿した途端、その近辺が割れたのでやむなしです。
艦橋のトップ部分です。アップの設定画が手元にないので、詳細は解りませんが、【3号艦】のトップに似た形状になっているようです。ランナーと真鍮線で作りました。
余談ですが、不思議なことに、『新世紀合金』の【ブルー】は、このトップ部が【3号艦】と同型になっていますが、【ブルー】ならこちら (左の写真) の方が正しいと思うのですが……。
表面処理がだいたい片付き、この後2度目のサフ吹き作業に入ります。
ここで、艦首の長いアンテナ・フィンも接着してしまいました。これで全体としたは9割程度パーツに手を入れる作業は終了です。
サフ吹きを先行させていたパーツ類は、ここで塗装を始めておきます。
グリーン系統の濃淡でカラーリングしますが、濃い部分は、タミヤ缶スプレーのNATOグリーンで塗装。
マスキングテープをはがすと……まあまあの仕上がりです。後ほどタッチアップで修正します。
さらに表面処理の手直しをし、3回目、最後のサフ吹きが終わったところです。
この後、2000番の耐水ペーパーで表面を磨いておきます。
レーダーアンテナ部を真鍮線とエッチングパーツで、でっち上げます。あまりシャープな出来ではないですが、多少はマシになったと思います。。
キャビン部分をレッドブラウンでタッチアップしてマスキング部分の修正。やはり、多少は色合いの違いが出ました。
そこで、キャビン全体に軽くドライブラシで色の違いを目立たせないようにし、全体の雰囲気をごまかしました。
艦橋部もNATOグリーンで塗装。
艦体をタミヤ缶のライトグリーンで塗装。これはデスシャドウ1号艦と同色です。この写真で、すでに何度かの修正や再塗装をしています。
今回、塗装は全て夜にベランダで行っているため (ほとんど見えていません) いつも以上に塗りに問題があります。ですが、ある程度妥協して、先を急ぎます。
先行して塗装していたものは、ここで薄めたフラットブラックでウォッシングしておきます。
艦体をマスキングテープで、かなり大雑把にマスキング……塗り分けのラインがかなり複雑なので、どのみち後で修正することになります。
マスキングした中央部をNATOグリーンで塗装。色の違いが写真では、ちょっと解り辛いようです。
何回か吹いて、テープを剥がし、タッチアップ修正することになります。
ドクロレリーフはまずグレーで下塗りをします。艦全体にスミ入れウォッシング処理……いつもの私のワンパターンな方法です。
ドクロをグレーを混ぜた白で塗装します。真っ白でも浮いてしまいそうなので、戦艦の主砲の防水布用に作り置きしていたものを使ってみました。
ここで全体にフラットクリアーを吹いておきます。
旗は作り直します。一度画像を作ったドクロマークはいろいろな形で流用できるので、大変重宝しています。
光沢紙にプリントアウトし、マストにエナメル線で固定します。
上甲板と艦橋を取り付けて……ちょうど2週間で【ブルー】から【グリーン】への改修作業終了です。
作業途中から感じていましたが、艦体色がグリーンになると非常に引き締まった感じがします。
なるほど、30年前に原作ではこの色になっていたのも納得です。
まぁ、私の作業はいつもと同様ラフなことをやっていますが、タイトーさんのこの商品の素性が良かったということでしょうか。いつか、完全にレジンキャストに置き換えての製作もやってみたいです。
その件も考慮して、もう1隻、購入しておいたので、こちらは今は手を加えずに【ブルー】のままコレクションとしておきます。
いつか、時が来たらバラして型取りするための素材となります。
簡易製作という初めての取り組みでしたが、ひとまず、当サイトの5隻目の松本メカの完成となりました。
〜終わりに〜
さて、当サイトとしては考えられないほどの短時間で
5隻目が竣工となりました。
この【グリーン】の製作というものは、今まで計画として挙げた事は無かったかも知れませんが、当サイトの今後の予定の中では、ビッグイベントとなるはずのものでした。基本プランとして、バンダイ製【3号艦】キットからの改造を考えており (普通、それ以外に手はないです……その為にそれなりの数をストックもしていましたし) 取り組めばまた長い歳月を要したと思います。
今回、こういう形で竣工させたことに関しては、賛否両論あるかもしれません。
しかし、私としては、かなり楽しみ (苦しみ?) ながらの作業でした。約30年ぶりに、この型のアルカディアを手にして、ちょっと形容し難い興奮状態に陥り、取り憑かれたように作業に没頭してしまいました。
以前に書いたことがあったと思いますが、現在のライフスタイルの中でサイト運営を続けていくためには、こういったアプローチというものも、自分の中では否定せずに打ち出していきたいと考えています。
完成したものを眺めると、この脇に火龍や夢王(戦艦)、大山(空母)やクイーンエメラルダス号(初期塗装)などを並べたくなります。ま、火龍は無理だと思いますが……。。
時には、短時間で取り組めるものを、と思いたっての試みでした。

デスシャドウ2号艦 改修計画 完