「西暦2199年、地球は外宇宙からの脅威により、絶滅の危機に瀕していた。遊星爆弾による攻撃により、地表全てが放射能に汚染され、海は干上がり、人類は地下都市を築いてかろうじて生き延びている有様であった。しかも、放射能による汚染は確実に地下都市をも脅かし、もはや残された時間は2年にも満たないと予測されていた。
そのような事態のなか、日本・瀬戸内海地下の秘密工場では、外宇宙航行可能な宇宙船2号艦の建造が急ピッチで進められていた。九州沖で改造されている「大和」の随行艦として改造されている、やはりかつての連合艦隊戦艦・榛名であった。
本来の計画によると、「大和」は選ばれた人間と動植物を載せ、地球を脱出することを目的としていたが、その搭乗人員は200名にも満たない数であり、また、当然地球に対して攻撃を加えている「ガミラス」の妨害も予想され、その目的地未定の「ノアの箱舟計画」は殆ど絶望的なものであった。
少しでも人類生存の可能性を増やすために、「大和」へ随行する宇宙艦の建造計画が急遽決定されたのも必然的なことであった。
そんな中、救いの手もまた外宇宙からさしのべられた。
遙かマゼラン星雲の惑星イスカンダルより、放射能除去装置を受け取りにくるようにというメッセージと、そのために必要な光速を超えるエンジンの設計図がもたらされたのだ。
「波動エンジン」と呼ばれるそのオーバーテクノロジーの推進機関は、当然のことながら建造途中の「大和」に装備されることとなった。そして、全く稼動試験を行う時間的余裕が見こまれないという理由から、エンジンは同時に複数製造され、「大和」の随行艦に予定されている数隻の艦にも装備されることになった。
それは、一隻だけでもエンジンが稼動し、イスカンダルへ向けて出航出来れば……という人類の切なる希望であった。
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