まず最初に……本シリーズは、基本的に「1/72スケール」での展開を考えています。時には例外的に別スケール、たとえば「飛行状態は1/72、着陸状態は1/48」なんて出来たらいいなと考えています。
第一弾として選択したのが「夜の蜉蝣」に登場した「一式戦闘機 隼」の「三型乙」。
いきなり大掛かりなスクラッチというのもヘヴィですし、カラーリングのアレンジだけというのもスタートとしては少し寂しい……そんな思いがあり、多少の改造を伴うものを探していたところ、この機体に目を付けました。
70年代後半から80年にかけて、「ホビージャパン誌」で「松本零士の世界」と称する特集が4度に渡って展開されたことがあります。
確かその三度目の特集で、この機体を「タミヤ1/50」から製作する作例がありました。その本を10年ほど前に処分していたので、参考にしたいと思い、改めて探してみたのですが、入手出来ませんでした。残念。
今回は素材として、フジミ製の一型とアリイ製の二型を使用します。
同型機ではないので、もちろん素材とする機体そのものにも差異があり、さらにこれを三型とするには胴体延長 (実機では20センチほど)i などの作業も発生してきます。
どちらをベースとするか悩むところですが、比較的型 (金型) の新しいフジミを選択しました。
アリイのキットはかつては「可動モデル」だったものを改修したものなので、一部ディテールや形状に辛い部分がありました。しかし、二型と三型のほうが違いが少ないのでパーツはいろいろ使用することになります。
なi
この時点での製作資料は、原作コミックと「エアワールド誌1985年6月別冊 日本陸軍機写真集」のみです。そこでの掲載写真は機首付近の一枚のみ……もっとも、現存している写真は二枚だけのようです。
その一枚の写真を見た限りでも、明らかに機首が延長されているので、作業もまずそこから手をつけてみます。
カウルフラップと胴体の境目をカット……しかし、ここでのカットは後に作業の二度手間を生みました(;-_-。
吸気口の位置の関係から、エンジンカウリングはアリイを使用する方向で……しかし、エンジン露出部分が完全に塞がっているのはちょっと問題なので、開口します。
エンジンパーツはフジミを使用するつもりですが、一型とはエンジンが別物のはずなので、少し調べる必要はありそうです。露出部は少ないので大きな差異がなければそのまま使います。
しかし、今ひとつカウルが気に入りません(^_^;A。
キットストックを漁ると、適当なパーツと思われるものもあり、悩み始めました。
胴体部分は接着して、ペーパーがけ等始めています。余談ですが、ハセガワのキットを使用しないのは、機体が凸モールドだったから、という理由だけです(@_-;A
コクピットもストレート組み前提で手がけ始めたのですが、いきなり座席の支柱を折ってしまいました。まどろっこしいので、真鍮線で全部造り直します。
キットストックから選抜したカウリングの候補……右から「鍾馗」「百式司偵」「零式五二型」です。
悩むこと十数分……。
結局、「百式司偵」のカウルを基に製作することを決断。まずは、機関砲用の穴を二箇所に開ける作業です。
ピンバイスで恐る恐る開口、曲面にかなり浅い角度でドリルを立てるので、なかなか難しいです。
もう片方との位置を揃えなければならないので、反対側の開口には、更に神経を尖らせての作業となりました。
三型乙の最大の特徴は、一型の7.7ミリ、二型及び三型甲の12.7ミリから、20ミリへと武装強化された点です。当然この機首の開口部も大きいハズ……他キットの同部分を比較したうえで、かなり大き目の穴にしています。
前述した機首の延長も「20ミリ機関砲が入らない」からです。(@_-;A……しかし、構造上翼内に機関砲が仕込めないというのも……なんだかなぁ/(x~x)\。
原作では、一機がフィリピン諸島にあり、「こいつの生産はもう間に合わん」という話にアレンジされていますが、実機は「乙」の名の通り、「対B29用の局地戦闘機」として開発されたのですが、重量が増えすぎたことにより2機のみの試作で不採用となっています。おそらく、重量過多による上昇能力の低下が決定的な要因ではないかと思います。
カウルフラップ部分もそのまま「百式司偵」のものを使います。しかし、ちょっと長過ぎてまずいです。既に「機首延長」された寸法に届いています。実機で延長されたのは機体とカウルフラップとの間の部分なので、このままではマズイです。
この作業の途中で「世界の傑作機」を購入。残されたもう一枚の写真と三面図を入手しました。
エンジンカウルを削って全体の寸法の辻褄を合わせます。
結果オーライ、のようです。機関砲の開口部とカウルフラップとの位置関係も、ちょうどこのぐらいのようです。約3ミリカウルを縮めました。
そして、機体延長用の部品は、同じ「百式司偵」のカウルフラップを使用 (双発機ですから) しかし、中央部でカットする必要が生じます。
左の写真のように、かなり機首先端に向かって機体の直径が膨らんでいきます。
ここはラインがそれなりに繋がるように、角度をつけて接着し、瞬間接着剤で固めてしまいます。
そして、今度はプラパテ盛りします。機体側面の凹みは一型・二型に共通する「排気口」の取り付け部なので塞ぎます。しかし……こんな面倒なことをせずとも、機首カットの時に、カウルフラップを残してカットしておけば良かったのです。相変わらず計画性というものが身に付きません(-_-;)
三型乙では「蝶型フラップ」から「開き下げ式フラップ」へ変更されたらしいのですが、その形状が解りませんでした。原作のカットからは判断し辛いのですが、どうも形状は「蝶型」のようです。
駆動機構のみを変更して、フラップのパーツそのものは従来のものとしている可能性もありそうですが、「世界の傑作機」の図面では、形状そのものも違って描かれていました。図面がどのような資料を根底として描かれているのかは解りませんが、実機写真が無い以上は……迷った挙句、ここは図面を参考に進めることにします。フラップのモールドを彫り直しました。
ここでまた思案……どうも原作のカットには「フラップが少し下がった状態」と「主脚を中途半端にたたんだ状態」の絵が多いようです。
「なんとかこのテイストをモデルにも加えてみたい」と思い始め、固定でフラップを下げた状態にしてみることにします。
フラップ部分を全てカットします。
とりあえず今回はここまでです。……なんとか後2回ぐらいの更新で完成させたいと考えています。
なにしろ、息が長いコンテンツになりそうですから……。
余談ですが、「ザ・コクピット」アニメ化の際に、小学館から発売されたムック本に1/72や1/48を中心とした各種デカールが収録されていました。うろ覚えですが、「アルカディア」「新撰組」「近藤家」「ベルリンの黒騎士」「アクリルの棺」などをフォローしていたと思います。
今回、それをあてにしていた部分もあったのですが、何故かその本が見つかりません(;-_-+。
「楽をしようとするな」という天の采配か、はたまた単に部屋が散かっている弊害か(;-_-+。いずれにせよ、それらのものにも挑戦していきます。
もちろん「音速を超える」ことにも挑戦したいし、「スタンレーの魔女」も (断固として、絶対に) 越えたい、と。
「あの頃出来なかった事に挑戦すること」が主旨なのです。